「貴方は普通じゃないの、D-R57。」

ディーアールゴーナナ。

僕の番号。

……僕には名前が無かった。

此の番号が唯一、僕の存在を証明するものだったんだ。

「普通じゃないの?」

「ええ、貴方には魔王の血が流れてる。」

魔王――――

支配者でも神でも無い。

支配者><神

ならば、

支配者=魔王=神

といったところ。

どちらでも無いそれは、存在理由が無い。

支配者は世界を屈させる者。

神は支配者を見守る指導者。

魔王は、此の世界にいる意味が無かった。

それどころか、支配者と神と等しい力を持っているそれは、
ある意味私たちの“脅威”だった。

「僕が――――?」
「えぇ。そこで世界をちょっと壊してみない?」






「――――ここか。」

僕が送り込まれた記憶の世界は、実験兵創出研究事務所。

醜い場所。

何の罪もない、捨てられた子供達を、
政府の新しい戦闘道具の実験台にする。

さぁ、考えている暇は無い。

僕の試練は、屍たちの削除。

掃除の時間だ。



「どうして……」

現れた屍。

どす黒い気迫。

腐った肉体。

醜いよ、君たち。






人を殺め続けるのが僕……白露 鎖葉斗。

沢山の屍たちは僕によって死界に送られた者たち。

もう数え切れない。

「何故」

「何が」

「何で」

「教えて」

鬱陶しい奴らだ。

人に問いかけることしかできない。

独楽 裡音――――

彼の様な優れた人物がこの愚者たちと同じ、
問うことに執着してるのが本当に理解に苦しむ。

まぁ僕は問わないけどね。

「戻れ、お前たちの居場所は此処じゃない、下だ。」

僕は屍たちに鎌を振り回した。

屍は下へ逃げて行く。