それから数日後、俺は無事に退院した。 「良かったな、晴馬。」 「サンキュー!勝。」 「今日は実家に帰るんだっけ?」 勝の言葉を片隅に辺りを見た。 敦、やっぱりきてないか…――。 俺が記憶喪失だと知ったあとからほとんど顔を出さない。 「晴馬?」 「んあ?…ああ、明日には学校に帰るよ。」 勝は何か言いたげな表情を浮かべた。 勝の言いたいことは大体わかる。 それを言ってこないのは勝なりの優しさ何だと思う。