あれは、俺が中学三年の夏だった。

全国高校野球選手権大会。

甲子園。

俺は出会ったんだ。

最高の夏に。

最高の野球に。

本当の高校野球に。

自分の目標に。



あの夏は暑かった。

特に甲子園球場は異常だった。

俺は、中学野球の全国大会の為に、兵庫県に来ていた。

偶然にも、その日は甲子園の決勝戦が行われる日でもあった。

午前中に試合が終り、1時開始予定の甲子園決勝戦を観ることになった。

気温34度。

とても暑い日だった。

決勝戦は西東京代表の日大三高 対 滋賀代表の近江高の対戦だった。

強打の三高。

継投の近江。


どちらも決勝戦にふさわしい名門高だろう。