幸いにも夫の上司は不妊治療に理解のある人だった。

だからこそ半休を取るなどして夫は私の通院に付き添うこともできた。

夫が上司に思い切って私たちの事情を打ち明けたとき、

上司はそれはそれは親身になってじっくり話を聞いてくれたという。

実はよくよく話してみると……なんと、上司本人も不妊治療の経験者だったのである。

今でこそ治療の甲斐あって可愛い双子のパパだけれど、

不妊治療の苦労は一生忘れないし、その苦労話は話しだしたら切りが無い、と。

上司は夫に出来る限りの協力をすると約束してくれた。

“治療には悲しいかなタイムリミットがあるのも現実。

だから、出来るうちに出来ることを出来るだけやったほうがいい”

そして、夫に向かってしみじみとこう言ったのだ、と。

“この大変さとか辛さとかって、たぶん経験した人間にしかわからねぇんだよ……”

きっと、そうなのだ……この辛さや過酷さは経験した人間にしかわからない……。