上司の心無い態度も辛いけど、そのとき私が何より辛かったのは、嫌だったのは――

後輩の幸せを……妊娠を心から喜べない、祝福できない自分だった。

治療の成果が得られないまま、どんどん自分が嫌な人間になっていく気がしていた。

心から望みもしないで子どもを授かった後輩が妬ましかった。

後輩だけじゃない、治療の苦しさを互いによくよく理解しているはずの同士でも……。

不妊情報サイトで知り合った仲間の吉報でさえ、少なからずショックを受けた。

“どうして?なんで皆のとこばかり……”

“どうして?なんで私はダメなの???”

誰かの妊娠報告を聞くたびに、言い知れぬ焦燥感におそわれた。

誰かの幸せを心から喜べない自分……最低だ……ホント、最低な人間だ。

“子どもは親を選んで生まれてくる”

そんな話を聞いたとき、私は泣いた……。

選んでもらえない自分、望まれない自分。

悲しくて、切なくて、苦しくて。

どうしようもなくやるせななくて、ただただ泣いた。