職場で一番辛かったのは、後輩ができ婚…………授かり婚をしたときだった。

彼女と私は特に親しいわけではないけれど普通に話せる先輩後輩。

いかにも“今時”という彼女だったが、私は悪い印象を持ってはなかった。

だけど、電撃的な妊娠と入籍のニュースを知ったとき――

“おめでとう”という気持ちよりもっと違う気持ちが……。

“何故!?どうして!?”

そんな釈然としない気持ちが、祝福よりも先にたった。

妊娠中の彼女の経過はすこぶる良好。

つわりも軽くすぐにおさまり仕事を休むこともなかった。

さらに、彼女は予定日の6週間前ではなく3週間前まで仕事を続けた。

非常に順調で母子ともに何の問題もないという大前提もあったが、

自宅や分娩先の病院が会社から近いという好条件も重なっていた。

上司は、逞しくて働き者の彼女を褒めてちぎり、私の立場をさらにさらに辛くした。