ホテルライクのそのクリニックは大人気で分娩予約のキャンセル待ちもいる程だった。

「今ならギリギリで間に合いますが」

「そうなんですか!?」

心の中では“お願いします”と言っていた。

でも、夫に相談もなく決めるのは憚られた。

なにせ妊娠の報告すらまだこれからなのに。

だけど、このチャンスを逃したくなかった。

「とりあえず、仮予約とかできますか?」

「ご主人と相談されて、明日の午前中までにお返事いただけるなら大丈夫ですよ」

「はい!ありがとうございます!」

こんな素敵な病院で出産できるなんて!

私は妊娠の喜びとあいまって、心躍る気持ちで舞い上がった。

その夢が、すぐに儚く打ち砕かれるとも知らずに・・・・・・。