「マジ居やがった」


離れていて音が聞き取りにくかったけれど、ハルミのぼやきが聞こえた気がした。


「なんでハルミがここに……」


「あの様子じゃあ、友好的な関係を築いてる御仁じゃないみたいだね」


ルクトの言葉に対し、にがりきった顔で肯定する玲奈。


意思を持って近づいてくるハルミと対照的に、玲奈はふらつくような足取りで二三歩踏み出した。


ハルミがクルリと目だけを動かしたのが見てとれる距離にまで近付く。


彼女は玲奈の側に立つイシュトとヴァンを見て、一瞬あっけにとられた顔をした。


そしてもう一度玲奈に視線を戻すと、忌々しそうに地面に唾を吐く仕草をした。


「ふん。イケメン引き連れて、弱点克服ってわけ?」


玲奈には、ハルミの言葉も仕草も頭に入らず、耳から通り抜けていってしまう。


何も言えずに立ち尽くすのをみて、ハルミはフンと鼻をならした。