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ダンブディアの魔峰を進む一行は、血の気の失せた顔をしている玲奈を真ん中に、それぞれが黙々と歩いていた。


特異な気候に見舞われるだけで、元々そんなに傾斜があるわけではない魔峰だが、少し前から殆ど勾配が感じられなくなっている。


天候も比較的安定しているようだった。濃い霧が出ていて、湿気を含んだ服がずしりと重みを増しているけれども。


下界が近いね、とルクトはエマに言ったがそれは、間を歩く玲奈に聞かせたかったものだ。


しかし玲奈からの反応はなかった。


イシュトたちの反応も鈍い。


こちらは、ダンブディアの噂くらいは耳にしているからだと思われた。正しいか否かはともかく。


先頭に立っていたルクトが短く声を発したときも、問う声を掛けたのはヴァンだけで、他のものは静かに顔を向けただけだった。


視線を落としていた玲奈も、のろのろと顔を上げた。