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ドン、と床を踏み鳴らす音が響いた。


苛立ちを露わにして声を荒げているのは、ブラウ王国の玉座に座る者。


彼の目前には、片膝をついてこうべを下げている者がいた。


戦神と讃えられ畏れられたオーウェンを、卑劣な手段で打ち取った男だ。


しかし本来の任務を遂行出来ずじまいで戻った彼には、労いの言葉の代わりに、怒声が叩きつけられていた。


「ええい、どいつもこいつも、役立たずが!!」


王は彼に、既に一刻ほど、罵声を浴びせ続けていた。


まだまだ張った声を上げているが、言葉は一通り出尽くし、何度も同じ言葉を繰り返している。


男は反論もせず、黙って下を向いていた。


申し訳ございません、とだけ、ポツリポツリと口にして、あとは口を閉ざしている。


激昂していた王も、さすがに喉が枯れては文句を言い続けることは出来ず、憤慨したまま立ち上がって謁見の間を出て行ってしまった。