ラビリンスの回廊



「では王妃や嫡子の話は追々お話ししましょう。
それよりもご自分がなぜ姫なのかを知りたいようですから」


エマの言葉に、玲奈は大きく頷く。
それを見てエマは一呼吸置いて話し出した。


「あなた様は我がシェル王国の姫君となり、国をお守り下さる存在なのです。
ルサロアの預言で『北の神殿跡に、高貴な髪を持つ者現る。その者、シェル王国を救い、光へ導かん』と出たのです。
ルサロアとは王国に唯一の預言職の総称ですが、現在は一人しかいないので、固有名詞のようなものですね」


エマの言葉が途切れたのをきっかけとしたかのように、玲奈はゴクリと唾をのんだ。


「さっぱりわかんねぇ……
わかんねぇけど、その占いに出たのがあたしだっての?
国を救うって……あたし、なんも出来ねぇよ?」


首を傾げる玲奈に、エマは訂正の言葉を口にした。