ラビリンスの回廊



「しちょう…?」


玲奈が、どう発音したらいいのかわからないでいるのに気付いたのか、ヴァンがかいつまんで補足する。


「ブラウ王国の鳥です。正式名称は違うのですが、我々は死鳥と呼んでいます」


そして一旦言葉をきったあと、ゆっくりと続きを吐き出した。


「あの鳥は、死を運ぶ鳥と言われています。なので、死鳥。

恐らく……ルノを探しているのでしょう」


禍々しい字に変換されると知り、玲奈は鳥に目を向けるのをやめた。


ふと思考が動いて、嫌な予感におそわれたのか、ヴァンに問い掛ける。


「なぁ。探してどうするんだ? なんで鳥がルノを探すんだ?」


「恐らく……ため」


「あ?」


ヴァンの声が低くなり、聞き取れなかった玲奈が聞き返す。


と、イシュトから空々しい声がかけられた。


「いいから歩け、跳ねっ返り」