ラビリンスの回廊



粘つくような視線と口調が、オーウェンを煽りたてていく。



「まさかワザと逃がしたわけじゃあ、ありませんよねぇ?

大問題ですよ、もしそうなら」


「どうせ我々の事も監視していたのでしょう。

だったらわかるはずですが。

ルノ殿が、我々の包囲を抜けて行ったのを。

とり逃がしたことは、私の落ち度となるのは必至と思ってはおりますが」


表情をヒクリとも動かすことなく答えたオーウェンに、クククッと男は笑う。


「さすがにお見通しですねぇ。ご立派ご立派。

仰る通り、監視をつけさせていただきました。あなただって、私と同じ立場なら、そうなさるでしょう?

しかしまぁ、あなたがたの気持ちも、わからなくはないですがねぇ。

ですから、私はなにも、あなたを責めようだなんてこれっぽっちも思っていないのですよ」


同情に絡めた物言いをしてはいるが、目の奥には冷酷な光がさしているのを、オーウェンは見てとった。