ラビリンスの回廊



厚いかに見える人の壁も、均等ではないことに気付くと、ルノはオーウェンが剣撃を繰り出した瞬間、一点に向かって走った。


比較的手薄なところを、一気に突破しようと身を投じる。


ルノは、己の身を守る以上の手練れであった。


女だてらに、この若さで王子の追走を任されたのも、それによるところが大きかっただろう。


たちまち取り囲んだ剣も、ルノはなんとかくぐり抜けていく。


ルノひとりに対しての数が多すぎて、数人が剣を伸ばし、大半は殆ど押し合いをしているだけだ。


包囲網を改めて張ってくるかと思いきや、ルノの後方に群がるだけで、前方は層が薄い。


致命傷となりそうな剣筋は、繰り出しも受けもせず、あちこち斬られた傷で血みどろになりながら、ルノは足を止めずに突き抜けた。


振り返らずに走るルノ。


その背を僅かに追ったオーウェンだったが、すぐに追撃を諦めた。


オーウェンの他にも、ぱらぱらと数人がルノの後を追ったが、彼らもルノに追いつくことは出来なかったようで、またすぐ戻ってきた。