ラビリンスの回廊



「ここはライエ大陸の西に位置するシェル王国です。
このシェル城を居城とする、ハロック・シェル様が統治なさっております。
王妃はリュカ様。
ご嫡子に、第一王子のハマン様。
ここまでは宜しいですか?」


玲奈は首を振り、溜め息をつく。


「覚えられる気がしねぇ……」


そんな玲奈に「覚えて下さい」とピシリと言い、エマは先を続けた。


「ライエ大陸には他に、ファイ王国、ブラウ王国があります。
ほぼ中央にあるファイ王国はザラス・ファイが、東に構えるブラウ王国はキイス・ブラウがそれぞれ統治しています。
王妃は……」


「やめろ、頭痛がしてきた」


頭を押さえた玲奈に、エマは「風邪でしょうか」としれっとしている。


簡単にって言ったじゃんかと憎々しげにエマを睨み付けるが、そもそも事情説明をと言ったのは自分だし、と思い直し、「やっぱ続けて」と言った。


エマは小さく頷き、再び喋り始めた。