ラビリンスの回廊



「そんなことは……」


否定をしようとしたルノを、オーウェンは手で制す。


先程まで緩んでいたオーウェンの瞳はなりをひそめ、ふと深淵を覗いてしまったように感じたルノの心はヒヤリと冷えた。


感じた冷気はそのまま自身の背中に回り、逆撫でし、ぞわぞわと這い上がるのを感じとる。


オーウェンも、誰も彼も浮かべる表情は笑顔でしかないのに、何を考えているかわからない瞳が、まるで知らない顔に見せていた。


「おい、皆の者。わたしはこのような失礼な仕打ちに耐え兼ねるが、皆はどうだろうか」


周りから賛意の声が上がる。


そよ風のようだったそれは、徐々に勢いづき、うねりを伴ってすぐに轟轟とルノを取り巻いた。


ルノが口を開いても、誰ひとり聞く耳を持たない。


オーウェンは、どこから取り出したのか、一振りの剣を構えた。


金属音がして、周りも一斉に剣を取り出す。


切っ先を、愕然と佇むルノに向け、オーウェンは微動だにせず言い放った。


「我々は、自分の思ったままに行動する。

もう指図は受けない、ということです」