「ルノさま、貴女はまだお若い。
しかしその真っ直ぐな気性ゆえ、王と王妃からの覚えはあまり良くない。
再三の苦言を呈してきた貴女だ。
王宮を裏切るであろうことを、王たちがこれっぽっちも考えない筈がない」
「ええ、それは認めます。ですが──」
尚も何か言おうとするルノを、オーウェンは遮った。
「わかりませんか」
ルノはいつの間にか、オーウェンだけでなく、村民の格好をしたものたちも自分に向けて微笑んでいるのを見てとった。
自分の預かり知らぬ表面下で、進行していた何かが、いま期が熟しその薄膜を破って出てこようとしている、予感。
勘付いた、と見てとったのか、オーウェンは声を張った。
「どうやらルノさまは、我々がみな耄碌してるとお思いのようだ」
「オーウェン……?」
突然の会話の齟齬に、ルノは戸惑いの目をオーウェンに向ける。
「自分の思考さえもなく、ただの木偶人形のように、誰かの意志でしか動かないと」


