前を向いたまま、ルクトの言動になんて興味のなかった様子のヴァンが、
ルクトを納得させるように口を開いた。
「……彼女が、ご自分で決めたことです。
我々に口を挟む余地はありません。
あなたは『イシュト様なら』と思っているのかもしれませんがね」
ぐっと詰まった様子のルクトに、玲奈は首を傾げる。
玲奈は、ルノ本人が自分たちと旅をしない事を選んだのだから、それでケリがついたと思っているのに、
どうやらルクトには不満があるようだ。
表立ってはいないけれど。
ルクトとヴァンのやりとりを見ていたら、なんだかそんな感じがした。
ルクトは確かにチャランポランな発言をすることも多いが、
それは彼なりの思索に基づいてのものだと、
玲奈は今までの道のりでわかっていた。
周りを気遣い、軽い口調を使うこともある。
玲奈は、ルクトの言葉に腹を立てることもしょっちゅうだ。
しかし玲奈のわからないことは馬鹿にせずちゃんと教えてくれるし、
時には先回りして説明してくれる。
なのに何故今回に限って、こんなに回りくどい言い方みたいなこと、するんだろう。


