ラビリンスの回廊



「ちょっと早いけど、宿探そっか」
というルクトの声に、玲奈は心の中でホッと息をした。


今夜はもしかしたら野宿しなくて済むかもしれないと思うと、自然と足も軽くなる。


それは他の面々も同じだったらしく、その集落に向かう足並みは速かった。





集落は、民家が数軒と大きなお屋敷だけで、宿屋のようなものは見当たらなかった。


意気消沈した玲奈だったが、ルクトがフットワーク軽く、道行く人に何やら話しかけたと思うと、
「村長さんの家に泊まっていいって」
と玲奈に向かってウィンクした。


どうやら話しかけた人がたまたま村長で、宿のようなものはないかと訊いたところ、「うちに泊まればいい」と言ってくれたらしい。


村長だというその初老の男性は、ルクトの後ろを歩いていたイシュトたちをチラリと一瞥すると、大きな屋敷に向かって歩き出した。