ラビリンスの回廊



「あれ?」


先頭のルクトが声を上げたのは、そろそろ陽も傾き始めた頃だった。


「あんなところに、集落なんてあったっけ……?」


足を止め、なんだかさっきもこんなこと言った気がするな~などと言いながら、エマを見たルクト。


苦笑気味な彼に向かって、エマはゆっくりと左右に首を振った。


「なんだか新しい家々ですね」


目を細めたヴァンの言葉に、ルノが恐る恐る口を挟んだ。



「そう言えば最近、この辺りに移り住んだ人たちがいるって聞いたことがあります」


ルノからの情報に、へぇと驚きの声を出したのはルクトで、エマは少し首を傾けて考える素振りをし、ヴァンとイシュトは押し黙った。


玲奈には特に興味をそそられることではなかったため、ただ「ふーん」と言っただけだった。


「そんな噂、聞いたことなかったなぁ」


驚いたあとは、感心しているのか訝しがっているのか、ほとんど読みとれないような表情になったルクトに、エマは何も言わなかった。