ラビリンスの回廊



一瞬、ルノの顔に笑みが浮かんだ気がして、玲奈は目を凝らす。


──気のせいか……?


見直したときには笑みは消えていて、不安そうな顔付きに戻っていた。


心にわだかまりが残ったが、取り立てて騒ぐことでもないかと思い直す。


信用しきれていないから、光の加減でそう見えたのかもしれないが、胡散臭いことに変わりはないので警戒はしておくことにする。


「本当にご一緒しても宜しいのですか?」


イシュトに対し、すがるような目線で僅かに上気させた頬を見せ、本当に嬉しそうにしているルノだったが、それすら芝居をしているように見えてしまう。


そしてイシュトも心なしか楽しそうだ。


それはルノが同郷の者だからかもしれないし、玲奈とは違いおとなしいタイプの女性だからかもしれない。


玲奈は自分が不機嫌になるのを止めることが出来ず、軽く頭を振ったがそれでも気分は晴れなかった。


今朝出立するときはマシだったのに。


なんだかむしゃくしゃした気持ちを抱えながら、髪がこぼれないよう、被っていたフードを深くかぶり直した。