「通ってよし」との声に、玲奈は門番を睨み付けながら門をくぐる。
門番の、権力を纏っていると勘違いしてるような態度が気に食わなかったからなのだが、当の本人は既に跳ね橋の向こうを見ていた。
チッ、と聞こえよがしにした舌打ちを耳とがめたのはエマで、「仕事ですから」とたしなめるように言われたことも、なんだか苛つきに拍車をかけた。
釈然としない想いを抱えながら、
噴水を中央に、白い彫刻がシンメトリーにならんでいる庭を抜けて、ぐるりと城を回り込む。
そこには、屈んで入るほどの扉があった。
エマはその前に立つと、軽く二回、ノックする。
少し間を開けて、くぐもった声で返事があり、ゆっくりと扉が開いた。
扉の向こうからは20代半ばくらいの女性が顔を覗かせ、エマと玲奈を見、二人を中へと案内した。
城の中といっても、そこはいわゆる裏口だったから、入った場所は飾り気のない部屋だった。
むき出しのレンガ壁に、小さなランプが点々と明かりを灯している。
全体的に薄暗く、玲奈は少しだけ気味悪く思う。
思わずぶるっと震えそうになり、両腕を抱え込むようにしてそれを押さえ込んだ。


