じっとルノを見つめていたイシュトだったが、合間にヴァンをチラリと見て軽く舌打ちをする。
さっきの邪魔をされたことを根に持っているような行動に、ヴァンは苦笑いを返した。
舌打ちに不安そうな顔を見せたルノだったが、やりとりを黙って聞いていたルクトにわざとらしい咳払いをされ、そちらに顔を向けた。
そしてルクトの服装を確認するかのようにチラリと見、その服装と、王族であるイシュトの同行者ということで、彼は護衛であるとルノは認識したようだ。
「何でここにいたん?」
人好きのする笑顔のルクトに対し、その質問の内容から、ルノは自分は怪しいものではないと言うべきか迷ったように僅かに躊躇いを見せる。
それはまるで、何と言えば彼らの機嫌を損ねることなくこの場を切り抜けられるかと考えているように玲奈には見えた。
彼らの反応がどう返ってくるか恐ろしいのかもしれない。
無言のまま、困ったようにルクトを見ていた。
玲奈は、胸の奥からせり上がってくる不快さに唇を噛んだ。
玲奈に話しかけられるたびに、玲奈を怒らせないようにとびくびくしていた奴らが、ルノに重なった。


