ラビリンスの回廊



エマを気遣うような素振りをしながら、ルクトが玲奈に向かって話し始めた。


イシュトやヴァンにも聞こえても構わないとの考えか、もしくは彼らにも知ってもらいたいのか。


もしかしたら、聡明な彼らに聞いて欲しいのかもしれない。


軽く息を吸って、ゆっくりと紡がれていく言葉に、玲奈は耳を傾けた。


「ヴァンくんは『大いなる流れ』は無く、ルサロアもいないと言ったけれど。

シェル王国に限らず、『大いなる流れ』の意思はあるんだよ。
万能ではないけどね。

言葉を預かる者──預言者であるルサロアもいる。

エマはルサロアだ。
『大いなる流れ』の言葉を預かる者だ。

だけど、預かるだけ。
こちらの意思は伝わらない。

意思を伝えられるのは『紅玉』を手にしたものだけ。わかるかい?

『紅玉』は願いを叶えるんじゃない。『紅玉』はただ、我々の声を『大いなる流れ』に伝えるだけなんだ。
願いを叶えるかどうかは『大いなる流れ』次第ってことさ。

そして、ルサロアしか『大いなる流れ』の言葉は聞こえない。

つまり、『紅玉』とルサロアが揃わないと、会話にならないというわけだ」