「その格好では目立ちますね。
仕方ありません、少し遠回りになりますが、大通りを迂回しましょう」
そう言って、エマは玲奈の脇を通り、丘を下っていく。
「格好が目立つって……制服が?」
金髪が目立つと言われたことはあるが、制服が目立つと言われることはあまりない。
だが、ここが本当に日本でないというなら、それもあるかもな、なんて思い、多少反応が遅れた。
後ろをついてきていないのがわかったらしく、エマは振り向いて待っている。
「おいおい、後ろにセンサーついてんのかよ」
聞こえないように小さくうそぶき、まさにロボットじゃん、なんて下らないことを考えながらも、玲奈は、エマの後をついていくしか選択肢はないように感じた。
いざとなったらいつでも逃げ出せるよう距離を保ちながら、見失わないように歩き出す。
お互い話すこともなく、ただ黙々と足を動かした。


