チャイムが鳴った気がした。


でも耳を塞いでたし……気のせいかも。


そう思った時、今度はドアをノックする音がした。


誰?


ドアスコープを覗いてみると──そこにはトモが立っていた。


しかもこんな大雨の中、傘もささずに帰って来たのか、ずぶ濡れで。


どうしよう……。


なんでトモがここにいるの?



ドンッ


「きゃっ!」


雷が大きな音を立てるから、私は小さく悲鳴を上げてしまった。


『開けろよ』


その声が聞こえてしまったのか、いることがバレてしまった。



ガチャ


しかたなくドアを開けた。


さっき喧嘩みたいになったばっかりだから、なんだか顔を合わせづらい。


その時、また大きな音がして、思わず首をすくめた。




「雷なんて怖くねーよ」

「え……」


あの時と同じ言葉。


顔を上げると、さっきのは見間違いじゃないかと思うくらい、トモは穏やかな表情をしていた。


「ト……は、早く、着替えた方がい……」


ずぶ濡れだったことを思い出してそう言いかけた時、すべての明りが消えた。