「つーかお前、何しに来たの?」

「ん? 陣中見舞い?」

「……意味わかんねーし」


長年つるんでるけど、本心が読み取れないことが時々ある。

……つーか、俺が聞いてるのに何で疑問形で返してくんだよ。



大体、修平は今、千鶴のことをどう思ってんだろう。


人には“告って押し倒せ”とか言っといて、自分は何かアクションを起こしたんだろうか。



「で? 本当は何しに来たんだよ?」

「だから陣中……」

「わかった」


わざと盛大にため息を吐いて言葉を遮り、体を起こしてベッドの縁に座った。


「智明が何か悩んでるみたいだから、話しくらい聞いてやろうと思って」

「……俺がいつ、悩んでるっつった?」

「今」


……あ、そ。


「コーヒーでも淹れてくるわ。お前も飲むだろ?」

頭をガシガシ掻きながら部屋を出ようとした時。



「……千鶴」

「はっ?」

いきなり出て来た千鶴の名前に思わず振り返った。


修平はさっきと同じ方向、つまり、俺に背中を向けたまま。



「涙目で上目遣いとかされると、たまんねーよな」