「や、だって…それは……」 一瞬、そのときの映像が頭に浮かぶ。 雄哉くんに手を掴まれて、2人の間の時間が止まった。 ただ見つめ合っただけだったけど… もし、あのままいけば、 もしかしたら、キスしそうな勢いだったわけで… そう思ったのって、あたしだけ……? 「なに!?何かあったの?」 「何もなかったけど…」 「けど?」 「けど……」 「けど?」 美奈ちゃんの表情に、うっすらイライラが見える。 「……何にもなかった…かな」 あからさまに、美奈ちゃんのがっかりとした顔。