「……」
そのとき、雄哉くんがあたしの手をぱっと離して、立ち上がった。
「…テスト勉強、しないと。」
今の…って……
「…今日は、どの教科にする？」
「あ、うん。えっと…」
あたしも立ち上がって、机の横に置いていた鞄を探った。
焦って、頭がなかなか働かない。
あたしは、たまたま目に入った英語の教科書とノートを取り出した。
「じゃぁ…英語、教えてくれる？」
「うん。」
教科書のテスト範囲のページを開く。
「…あ、ここの文法が、よくわかんなくて…」
「これは…」
雄哉くんは、今さっきの出来事が嘘だったかのように、またいつもどおりに戻った。
