ああっ!
全然聞いてなかった!!
言えないです…
『聞いてませんでした。』なんて、絶対言えないよー…
「あ、うん。わかった。」
頷くしかできない。
「……じゃ、これやってみて。」
ええええ!
雄哉くんの指さした問題と、仕方なく睨めっこ。
「…嘘つき。聞いてなかったんでしょ?」
雄哉くんは、わかってたようにあたしを見る。
「…ごめんなさい。」
「わかんないなら『わかんない』、聞いてないんなら『聞いてなかった』って、正直に言えばいいのに。
そんなことで怒んないよ。」
「…うん」
「じゃぁもっかい言うから。いい?」
雄哉くんは、もう一度同じようなことを繰り返した。
……やっぱ優しい。

