「笑佳ちゃん!」


あたしを追いかけてきた雄哉くんは、あたしの腕を掴んだ。


「待って。いきなりどしたの?」


今になって、恥ずかしくて目を合わせられない。


「なんであんなことになったの?」


優しく問いかける雄哉くん。



「……」



「…俺のこと、庇ってくれたんじゃないの?」


黙ってるあたしの顔を覗きこむようにして、雄哉くんはあたしを見る。



あたしは、小さく首を横に振った。


「…そうじゃないよ」


「え?」

雄哉くんが首をかしげる。


「そうじゃないの。…あたし、最低だよ?」

「なんで?」


「だって、ほんとは……

ほんとは、茜さん達に雄哉くんのアドレス教えたくなくて…。だから、あたし…」


「それでも嬉しい。」


びっくりして、あたしは雄哉くんを見上げた。


「てか、簡単に教えられても困るし。俺、笑佳ちゃんのこと信じてるから。」


いつもと変わらない表情で、雄哉くんは微笑んだ。




やっぱあたし、今日はなんか変……


変な気持ちになる…




あたしの家へと歩き出す雄哉くんの後ろを、何も言わずに歩いた。