時刻を確認し、そろそろ帰ろうかと思ったとき。





「………あれ…?」



いつもは何もないはずのリビングのテーブルに、1枚の紙きれが置いてある。


さっきまで、ずっと気づかなかった。



近づいて、それが雄哉くんの書き置きだとわかるのに、時間はかからなかった。



手にとって、じっと見る。





『笑佳
 いつも、ほんと助かってる
 ありがと。
 忙しくて全然会えないけど
 時間ができたら、
 また連絡するから
 もう少し待ってて。
      雄哉』



雄哉くんの字で、そう書かれてあった。


嬉しくて、何度も読み返す。





「…雄哉くん………」





うん

待ってる。


雄哉くんに言われたら、いつまででも待ってるよ。




雄哉くんらしい、コンパクトな文章で。



たとえ忙しくて会えなくたって、こんな書き置きがあれば十分なんだ。




愛してるの言葉がなくても、あたしには愛が伝わってきた気がした。