「あっ、ここ。」


話をしながら歩いていると、あっという間に自宅に着いた。


「あ、俺、笑佳ちゃん家、知っちゃった。」


冗談ぽく雄哉くんは言った。


けど、その呼び方が、実際よりずっと年下の人と話してるようで…



ほんとは2歳しか変わらないのに、

そんな感じがして、何となく言葉を返せなくなった。



「どうかした?」


「え、ううん。何でもない。
送ってくれてありがと?」


「…良かった。思ったより元気みたいで。」


雄哉くんの言葉に、自分でもびっくりした。



でも、それって、雄哉くんと上野智也くんのおかげなのかも…




家のドアを開いてから振り返ると、雄哉くんが少し笑って口を開いた。


「ほら、入りなよ?」



やっぱり優しい…



家に足を踏み入れて、少しずつゆっくりドアを閉めていく。


最後の、ドアの隙間がなくなるまで、ずっと雄哉くんは見送ってくれた。