「……部屋で、1人で曲聴いてたよ。」
咄嗟に、口から出た嘘。
ちょっと罪悪感だけど、でも雄哉くんのこと、驚かせたいから。
「そっか。で、金曜日のことなんだけど…」
「笑佳ちゃん、他にも何か作るー?」
後田くんが、キッチンの方からあたしを呼んだ。
「え……」
「……颯汰…?」
電話越しに雄哉くんが呟く。
「あ………」
「一緒にいたんだ?」
「……うん」
「なんでさっき、嘘ついたの?」
雄哉くんの口調が冷たくなった気がした。
「それは…」
どうしよう?
言わなきゃ…
誤解をとかなきゃ…
なのに、どう話せばいいのか、口が動かない。

