「で、今日は突然どうしたの?」
「あ、突然ですいません!電話番号とか何も知らなくて…」
「それはいいけど。」
後田くんは、怪訝そうにあたしを見た。
「えっと、実はお願いがあって来たんです。」
「お願い?」
「はい。あの……良かったらハンバーグの作り方を教えて下さい!」
「ハンバーグ…?」
「や、お母さんにも頼んでみたんだけど、『彼氏のために作るんでしょ?』って、彼氏情報を探ろうとしてくるんで、ちょっと……。」
「で、俺に…」
「あの、前にお邪魔したときに、料理がすごい美味しくて……
…他にお願いできる人がいなくて…」
言ってはみたものの、なんだかすごく迷惑な気がしてきた。
後田くんはちょっと考えるように、あたしから視線をそらす。
「あっ、材料は必要なものをあたしが買ってきます!それに…」
「うん。いいよ。そんなに言うなら。」
後田くんが、ちょっと笑って口を開く。
「ほんとに!?」
「じゃぁ、材料言うから、メモして。」
「え、今ですか?」
「………作るんでしょ?」
「…はい!」

