――「お母さん!ハンバーグの作り方教えて!」


家に帰るなり、夕飯の支度をしようとしているお母さんに声をかけた。



「いいけど、急にどうしたの?」

「ん、ちょっとね。」


「あ!!」


お母さんが大きな声を出す。


「え?」


「もしかして、前のあの子に作ってあげるの?」

「前のあの子って?」


「勉強教えに来てくれたり、笑佳がお泊りさせてもらってたイケメンの子!」


「ちがうよ!」


や、ほんとはそうです…。



「あ~、やっぱそうなんだ?」


お母さんが冷やかすように、あたしを肘で突く。



「なんだぁ。ずっと否定してるけど、やっぱ彼氏なんでしょー?」


「だから、ちがっ」



あ……今は彼氏なんだ。