…あたし、なんで逃げてるんだろ…
小さな溜息が口からこぼれ、いつの間にか、歩いていた足の動きが止まっていた。
…雄哉くんはアイドルなんだから、こんなの当たり前なんだ……
アイドルの彼女なんだから、これくらい…我慢しなきゃ……
思えば思うほどに、視界が歪んでいって、涙が溢れないように上を向いた。
「笑佳…」
突然、後ろから手を掴まれて、振り向かせられた。
見ると、雄哉くんが息を切らしてあたしの手を掴んでいる。
「待って……
…ごめん。」
雄哉くんがあたしを見つめる。
「…なんで謝るの？」
あたしは、無理やり自分に笑顔を貼り付けた。
