「え………?」
瞬間、流れていた空気が固まった。
「あ、えっと……」
雄哉くんが言葉に詰まる。
こんなファンの子の前で、『そうだよ』なんて言えるわけない。
だけど、雄哉くんは優しいから、きっとあたしの前で『ちがうよ』とも言えないんだ。
ファンだと言っていた子の顔から、喜びの色が消えていく。
…やばい……。
あたしは、繋いでいた手をぱっと離した。
「違うよ?」
咄嗟に口から出た言葉。
「…え…でも、今、手を」
「それは、繋いでたんじゃなくて、
偶然ふらっとバランスを崩したのを、支えてもらっただけです。」

