すると何か思いついたように、あたしを見る雄哉くん。


「…もしかして、ドラマ見たの?」



気まずそうな様子で、雄哉くんはあたしに問いかける。



やっぱり、見ちゃいけなかったのかな…。





あたしは何も言わず、小さく頷いた。



「そっか…。

ごめん、だから言えなかったんだ。

出演が決まったときも、すげぇ嬉しくて、ほんとは笑佳に早く知らせたかったけど、
台本読んだら、笑佳に見てほしくないとか思っちゃって。」




…雄哉くん……





雄哉くんは、まだ完全に涙が渇かない私を優しく、今度は正面から抱きしめた。




「ごめん……嫌な思いさせちゃって」






「……ぅうん」



首を横に振るのが精一杯で。



あたしの涙が、雄哉くんの服に滲んでいく。






そうだったんだ。





雄哉くんも、平気であのキスシーンを演じたわけじゃなかったんだ