しかし、勇一が二人のもとに姿を現す前に、少女は軍人が放った銃弾を鉄パイプで叩き落とし、そのまま彼の頭を一発殴り付け、地面に沈めてしまった。
それがあまりにあっという間だったため、勇一は走りだしていた足にブレーキを掛ける。
その足音に気が付いたのか、少女はきょとりと赤い瞳をこちらに向け、鉄パイプを構える。
「お前もわしを捕まえに来たんか。簡単にはやらせんぞ」
「そういう訳じゃなくてさ」
勇一は両手を上げ、自分が敵ではないことを示す。しかし、少女はじとりとこちらを睨み付け、完全に警戒心を解いた素振りを見せない。
勇一は困ったな、と呟きながら、少女に目線を合わせるために屈む。そして、なるべく優しい口調を心がけ、彼女に尋ねた。
「君、穹人なの?」
「…!」
すると、やっぱり殺すんじゃな、と小さく囁き、少女は勇一に鉄パイプをふるった。
「ちょっ……と!」
「わっ!」
勇一が鉄パイプを掴むと、少女はバランスを崩し、勢い良く倒れこむ。勇一は咄嗟に彼女を受けとめ、一緒に地面に転んだ。


