そして何故か、名前を間違えて欲しくないと思った。 「それにこの傘、俺のじゃないし」 だから、ここで、あの子でいう相川は卒業したかった。 「相川さんではないんですか?」 驚いているのか、目をぱちくりさせている。 「俺国崎です、国崎陸斗」 彼女の国崎になりたいと。 純粋に、そう思って。 別に相川でもよかった。 だけどやっぱり、国崎と認識してもらいたかった。 「…私、夏川菜帆です」 少しだけ微笑んで、少しだけ頬を赤らめて。 そんな彼女に、胸が高鳴った。