君の声、僕の歌姫

しかし次の瞬間にはそうも言っていられなくなりました。

ローゼがまた夢なんじゃないかと疑うような一言を漏らしたのです。


「スティーちゃんが……歌えなくなったの」


それが原因で今は教会のとある一室に幽閉されてしまったのだと。

そんなのは嘘だと、身支度を整えてから教会へ真先に向かうラウト。

教会の扉を蹴破り、そこにいた神父に懇願しました。


「スティーが此処にいるんだろ!? 会わせてくれ!」


はいどうぞと素直に言う神父ではありませんでした。

女神に歌声が戻るまでは誰にも会わせない、と。

スティーとの面会を頑(かたく)なに拒否したのです。