「やった! イフェルにこれで1歩近付いたよ! ね、ハルト」
「…………」


喜ぶキルシュをよそに、ハルトはただじっとラウトを睨んでいました。

理由は明らかにキルシュのその行動にありました。

ラウトは今にも殺されるんじゃないかと怯え、キルシュに解放を求めました。


「き、キルシュさん……貴女のフィアンセが今にも俺を殺す気満々なんですが」
「え?」


キルシュはラウトを放しハルトの方を見ました。

すると少しムッとした表情のハルトがそこにはいました。


「やっだぁ! ハルトってば嫉妬しないの! あたしには貴方しかいない事は分かっているでしょ?」


楽しそうなキルシュの傍で、ラウトは思いました。


“このバカップルとの旅は成立するのか”と。