君の声、僕の歌姫

ラウトは痛みを堪えるので精一杯で言葉も出ませんでした。

キルシュはお面を外し、怒鳴り散らしました。


「失礼ねっ! 普段のあたしは可愛いくてか弱い普通の女の子よ!?
あの怪力はお面のおかげなんだからっ!」


どういう事かを聞きたいラウトでしたが、なかなか痛みは引きませんでした。

聞きたくても聞けないでいるんだと察した、傍観者ハルトは説明を始めました。


「僕達の故郷では、戦う時はお面を付ける風習があるんだよ」


ハルトの説明によると、お面を付けるのには2つのパターンがあるとの事です。

1つはキルシュのように力の増強の為。

もう1つはハルトのように力を制御する為。