君の声、僕の歌姫

「………………………………あれ?」
「どうかした? あたし何か変な事でも言った?」


ラウトがきょとんと不思議そうな顔をしているのを、

キルシュは疑問に思いラウトの顔を覗き込みました。

ラウトは後で恐ろしい事が起きやしないかと言う不安を抱きながらも、

恐る恐るキルシュに今自分が抱いている疑問をぶちまけました。


「痛くない。俺を軽々持ち上げるくらいだから、怪力だと思っていたのに」


ラウトの想像していた“恐ろしい事”は現実になりました。

キルシュはお面を被り再びラウトを殴ったのでした。

その痛みは先程叩かれた時の数十倍の痛みでした。