君の声、僕の歌姫

スティーはただ頷きました。

そして声が出ない事がばれるのを恐れたのか、その場を去りました。

ローゼはそんなスティーの様子に首を傾げながらも、

規則正しい寝息をたてて眠る弟、ラウトに微笑みかけました。

そんなラウトが目を覚ましたのは2日後の事でした。

起きた瞬間、姉のローゼが病み上がりであろうラウトを殴りました。


「いったいなー…………何するんだよ、バカ」
「なかなか起きないから心配しちゃったじゃない! もう……」


ラウトはローゼから事情を聞きました。

あの苦しみはやっぱり夢じゃなかったんだ、と。

そしてこうして生きている事に喜びを感じました。