君の声、僕の歌姫

今だ!と感じたその時にラウトは目をカッと見開き、大きく円を描くように一振りしました。

キルシュは身の危険を感じ、一瞬にしてその場から去りました。

間もなくしてその場にいた魔物全ては炎に包まれました。

木の魔物達は悲鳴を上げる間もなく灰となり、煙となり、風に舞って行きました。

その場にいた全てがいなくなるのを確認した後、

微かに残る炎を消火すべくハルトが珍しく前にやって来て、

同じように短冊の紙を取り出すと今度はこう呟きました。


「流れろ」


刹那、その炎を消す最低限の量の水が溢れました。

炎は完全に消え、その場に残る物は何もありませんでした。