君の声、僕の歌姫

ラウトの戸惑いの表情を見たキルシュは、持っていたナイフを投げ付けながら、

お面越しに笑みを浮かべ、楽しそうに言いました。“ハルトがいるから大丈夫”と。

何故ハルトがいるからやっても良い、と言うのが分からないラウトでしたが、

彼が魔法のような物を使ったのを思い出し、それなら大丈夫だと思いました。

後方にいたハルトに視線を送るキルシュ。

ハルトもそれを見て何をするかを感じ取ったようです。


「ラウト、やっちゃって!」
「命令されるのは嫌だけど……やってやるよ!」


剣に力を込め、目を閉じてラウトは全ての魔物が燃え尽きる事を強く念じました。

すると剣は更に色を濃くし橙色から赤い色に変わりました。