君の声、僕の歌姫

『やれば出来るではないか……』


感心するようにフェネルは言いますが、その言葉はラウトには届いていませんでした。

剣をなりふり構わず振り回すラウトは面倒だと思い始めました。

これでは無限ループではないか、と。それでも何度も何度も切りかかっているにもかかわらず、

ラウトは最初に頭を打った以外、全くの無傷の状態でした。


「ねえ、ラウト! そんな芸当が出来るならさ……焼き払う事って出来ない訳? この魔物全部」


攻撃をしながらキルシュはラウトの傍まで寄ると、そのような言葉を言いました。

幾分か正気を取り戻した頃、実はそうする事を考えていたラウト。

しかし大火事になってしまう事を恐れ、躊躇っていました。