君の声、僕の歌姫

その瞬間。辺りは白い光に包まれました。

光はすぐに消え、スティーはラウトを見ました。

彼の表情はとても安らかで、規則正しい寝息を立てていました。


(良かった……)


ラウトの額を撫でながらスティーは歌を歌おうとしました。

しかし声は奪われてしまった後でした。何度声を出そうとしても無駄でした。

その時、気絶をしてしまっていたローゼが目を覚ましました。

慌ててラウトを覗き込み、その表情を見て驚きました。


「あら、スティーちゃんいたの?」


ローゼはスティーがいた事に気付いていませんでした。